プログラミング教育の本質|大切なのはテクノロジーに強くなること

プログラミング教育 本質(1)
アルスクール村野
こんにちは!キッズプログラミング教室アルスクール代表の村野です。

プログラミングが多くの子どもたちに学ばれるようになってきています。

ただ、どうもその本質は理解されておらず、「プログラミングができるようになること」が目的化しているように思えます。

今回は、プログラミング教育を受けることで、どういう力を伸ばすべきなのか、その本質について紹介していきます

アルスクール代表 村野 智浩

チームラボや外資コンサルで活躍後、各社で技術責任者を歴任してきたITスペシャリスト & 起業家。プログラミング教育・探究学習など、子どもの未来をつくる教育を学びつづけ、500名以上の子どもと学んできたアルスクール代表。息子はオルタナティブスクールやモンテッソーリ幼稚園にかよい、保護者としても先端教育を実践している。

目次

保護者がプログラミングを学ばせたい理由

なぜプログラミング教育が流行っているのでしょうか?それには大きく2つの理由があると考えます。

  • プログラミングがこれから必要だから
  • 思考力や創造性などにプログラミングが役に立つから

プログラミング教室に通わせている保護者のみなさんの思いは ① が強いと思います。一方で、プログラミング教室は ② を強調するところが多い。

そこで、保護者の思いとプログラミング教室の方針との差異が出ています。

実際、② としての価値もすごくあると思うんです。他の教材と比べても。

でも、② だけに逃げちゃダメ。

プログラミング教室は、① を求める保護者の思いに真摯に向き合うべきです。

例えば英会話教室で、「外国語を通じて異文化の理解ができましたね!」って言われても、その大切さは分かるけど、「英語をしゃべれるようになる」のかを重視しますよね。

プログラミングができることはみんなに必要?

なぜプログラミング教室が「① プログラミングがこれから必要」を強く前面に押し出さないのか。

それは、次のような理由からです。

  • プログラミングは、そこまでみんなに必要じゃない
  • プログラミングは、もっと大きくなってからでもいい

プログラミングはみんなに必要なものでもないし、小学生のうちに徹底してやったほうがいいとも言えないのです。

プログラミング教室を運営している方、特にエンジニアはそれを実感しています。だから強く言えないのです。

プログラミングはサービスを作る工程のほんの一部

プログラミングは、アプリやWEBサイトなどを作る工程のうち、指示にしたがって機械語にする工程のことです。

プログラミング教育 本質(2)

例えば、建築であれば、建築士や設計者がいろいろ考えたものを最後に工事します。その工事のプロセスがプログラミング。

プログラミングができる=なんでも作れる」、ではありません

もちろん、好きな人はどんどん学べばいい。とてもおもしろいものだし、僕は好きです。

プログラミングを学びたい子は全力で応援しますし、アルスクールはそれにどこよりも応えられる自負はあります。

でも、プログラミングを突き詰めることは、みんなに必要なものではありません

テクノロジーに強く、使いこなせることが重要

プログラミングでないなら、これからの社会に何が必要か?

プログラミングという言葉を使うから難しくなるんです。

本当に保護者のみなさんが期待しているのは、コチラですよね。

テクノロジーに強くて、使いこなせるようになってほしい
(※「テクノロジー」は、科学技術全般でなく「情報処理やコンピュータ関連の科学技術」という意味で使います。)

テクノロジーの必要性は、いうまでもないでしょう。

プログラミングはテクノロジーの中のほんの一部。

例えばAIを作れなくても、AIを使った革新的なサービスを考えられたらワクワクしますよね。

もちろんプログラミングを適切に学べば、テクノロジーに強くなれますが、目的を見誤ってはいけません。

そこには大きな違いがあります。

プログラミングのテクニックを暗記するだけではダメ

プログラミングの習得を目的化すると、テクニック(*)を単に暗記して何となく使えるようになる学習になりかねません。
(*) 条件分岐、繰り返し、変数、配列、関数、非同期、例外、などなど

難しそうなゲームやアプリを、大人の指示に従って、なんとなくテキストに沿ってできるようになる。

大人が考える答えがあってそれを探す。

そういった学習方法では、「テクノロジーを理解して使いこなせる人」ではなく、そういう人たちに指示されて「単に指示されたものを作るだけの人」になってしまいます。

プログラミング教育 本質(3)

プログラミングのスキルを高めるのではなく、テクノロジーに強くなるための学習。

発育や算数の理解を考慮せずに、無理に小学生にテクニックを覚えさせる必要はありません

「プログラミングが好きでもっと学びたい!」というお子さんにしても、テクノロジーの概念を理解した上で先に進まないと行き詰まります。

ただ、好きで学んでいる子は、暗記ではなく主体的にいろいろ学び、仮に教室が変な教え方をしていても、自分で補正できるから大丈夫な場合もあります。

テクノロジーに強くなり将来に活かすために

では、テクノロジーに強くて使いこなせるようになるにはどうしたらいいか?

テクノロジーの中核は、コンピュータの情報処理能力(計算能力)です。

必要なのは、コンピュータの特性を理解し、情報処理能力を問題解決に効果的に使う思考力です。

  • コンピュータは何が得意で何が苦手か。
  • 何ができて何ができないのか。
  • 障害のリスクや不具合での暴走をどう考慮するか。
  • 効果的に計算をさせるにはどういう方法を取るべきか。
  • 本当に正確な回答が必要なのか、近似値でいいのか。
  • 計算の速さ、正確性、マシン価格などトレードオフから最適解をどう選択するか。

そういう特性を理解し、問題解決にどう活用するか思考する力が必要になってきます。
※「テクノロジーを使わない」という選択ももちろんありえます。

なお、そのような思考を計算論的思考といいます。

では、テクノロジーに強くなるために小中学生に必要なことはなんでしょうか?

僕は下記と考えています。

テクノロジーを使って遊ぶ

キャプテン翼の「ボールは友達」のように、デジタルデバイスに触れたりいじくっていると、センスが身に付きます。

子どもは使いこなすの、早いですよね。

感覚として刷り込む。スーパーエンジニアは小さい時にコンピュータや機械で遊びまくっていた人が多いと思います。

コンピュータ(情報処理)を触ってセンスを磨く

コンピュータはどうやって動くのか、それを感覚的に掴むことで、何ができて何ができないのかなど、特性を感じやすくなります。

プログラミングはコンピュータを動かすものなので、この理解に役立ちます。

「コンピュータってこう動くんだ」「これは苦手なんだ」というような感覚を意識して学びましょう。

色んな使い方をしてみる

コンピュータやプログラミングで何でもできるわけじゃない。

でも、うまく活用したらおもしろいことができる。

コンピュータとうまく付き合って創意工夫するセンスを養いましょう。

子どもはすごくて、「そういう使い方、遊び方あるの?」って驚かされること、多いですよ。

興味があることをさせてみる

テクノロジーの進化は凄まじく速いです。

テクノロジーに強い人は、「もっと学んでいろんなことがやりたい!」という気持ちが強く、学び続けています。

脇道に逸れてもいいので、興味にそって学ぶことで、学びたい気持ちを育みましょう。

例えば、デジタルのキャラデザインにこだわる子は、徹底的にデザインをやらせてあげるのもオススメです。

8-9歳くらいまでに始めよう

例えば小さいライトを光らせるプログラミングで、「お!光った!!」とおもしろがり興味津々な年齢と、「小さいライトが光るだけ?」と感じる年齢とあります。

お子さんによりますが、8-9歳前後で後者から前者に変わるでしょうか。

その変わるタイミングまでに、プログラミングや電子工作で遊んでいると、急速にテクノロジーへの理解が成長するように感じます。

プログラミングの本質まとめ

将来、お子さんに必要なのは、「テクノロジーに強くなって、使いこなせること」です。「プログラミングができるようになること」ではありません。

プログラミングは、その目的を間違えずに学べば、非常に有効な手段です。

ただ、目的を間違えて、ただドリルを解くかのようにプログラミングを暗記をしても、効果は小さいし、状況によっては悪影響です。

「プログラミングってこんなものなのか、もういいや」と感じたり、ただ暗記するのが辛くて嫌いになったり。

算数を苦手になる子が多いように、学び方によってはプログラミングも同じことになりかねません。

もちろん、お子さんがプログラミングが好きで学びたいのであれば、スキルに特化したスクールはとてもいいと思います。目的に合わせて考えましょう。

プログラミング教育自体は(コンピュータ・サイエンス教育と呼ぶべきだと思いますが)、本質・目的を間違えなければ、とても意味があることだと思っています。

ぜひ、プログラミング教育の発展のためにも、そしてお子さんの未来のためにも、教室側も保護者のみなさんも、本質を考えていただけると嬉しいです。

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